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 〇 外来生物
 〇 生学的酸素要求量(COD)
 〇 賢明な利用
 〇 順応的管理
 〇 生態系
 〇 生物多様性
 〇 鳥インフルエンザ
 〇 東アジア・オーストラリアフライウェイパートナーシップ
 〇 富栄養化
 〇 ラムサール条約

 外来生物には2つのグループがあり、海外から日本に持ち込まれた「国外外来生物」と、日本の中でもともといなかった地域に持ち込まれた「国内外来生物」がいます。今、日本では外来生物が増えて各地で問題を起こしています。水辺でよく見られるアメリカザリガニやアカミミガメ、ウシガエルもアメリカから持ち込まれた生きものです。これらの外来生物はもともと日本にいた動植物を食べてしまい、絶滅の要因になることもあります。貴重な自然が残された伊豆沼・内沼でも、オオクチバスなどの外来生物による被害が深刻化しました。そこで、伊豆沼・内沼では人工産卵床(*1)や電気ショッカーボート(*2)などを用いて、外来魚を駆除しています。駆除活動の結果、外来魚は大きく減少し、沼の小型魚やエビが回復し始めました。外来生物の管理は、沼の自然を守る上で重要なテーマとなっています。
*1:人工産卵床とは、オオクチバスの産卵環境を人工的に再現した装置で、バスの産卵
を誘因し駆除します。

*2:電気ショッカーボートとは、発電機と電流を流すアームを搭載したボートのことで、
水中へ電気を流し、気絶して浮き上がった外来魚をすくい取ります。

 化学的酸素要求量(COD)は、水の汚れを示すものです。 COD は、水に含まれる有機物*を酸化剤で酸化するときに消費される酸素量を測定したもので、有機物が多いほど値が上がります。この数値が高いほど水質が悪化していることを示しています。国内の主な湖沼では定期的に水質調査が行われ、その結果は環境省のホームページで公表されています。
 CODを基準とした全国の湖沼の水質ランキングをみると、最近10年間伊豆沼はワースト1から10位の間にランキングされており、水質悪化が進んだ湖沼の一つといえます。伊豆沼・内沼では、水質悪化を防ぎ多様な動植物を保全するために、冬期間、河川から水をひく導水事業など様々な水質改善策が取り組まれています。
伊豆沼のCOD濃度の経年変化

*:有機物とは、動植物を構成している炭素を主な成分とする物質です。動植物の死がいなどの有機物が多くなると、微生物による分解が追いつかなくなり、有機物などを多く含む泥が底に蓄積され水質が悪化します。

 湿地を保全する上で、賢明な利用(ワイズユース)は重要な役割を果たします。伊豆沼・内沼のように、人里の近くにある湿地では、かつては、漁業によって魚やエビが収穫されていたり、ヨシが茅葺き屋根に利用されていました。このような活動は、地域の生活を支えると同時に、沼からの魚やヨシなどの形で有機物を取り出すことが水質改善につながるなど、環境保全の役割も果たしていました。現代に入り、生活様式の変化や流通の発達から、淡水魚よりも海産魚が食べられるようになったり、茅葺き屋根も使われなくなるなど、沼を生活のために利用する人は少なくなり、ヨシ原が荒れ地になったり、有機物が蓄積することで、水環境も悪化しやすくなりました。そのため,適切な管理が必要になります。
賢明な利用とは、伝統的な利用の仕方を学びながら、現代社会に合わせた形で沼を利用し、その湿地環境の保全を図る利用方法です。

 順応的管理とは、自然再生事業をすすめていくための重要な考え方の 1 つです。生態系は常に変化しています。そこで、自然再生事業では、常に調査(モニタリング)を行いながら、その結果に合わせて管理方法を変えていく順応的管理がすすめられています。伊豆沼・内沼では、伊豆沼・内沼自然再生協議会においてモニタリングによる評価をもとに、事業の見直しと修正を行いながら保全事業を展開しています。それによって生態系の変化に対応した保全対策が可能となるのです。

 生態系とは、生きものとそれをとりまく環境を、一つの単位としてとらえたものです。
例えば、伊豆沼・内沼も一つの生態系です。生態系の中には、さまざまなつながりがあります。生きもの同士は、食う食われるといった関係でつながっていますし、植物は土の中に含まれる栄養を吸って育つため、植物と土は栄養の移動を通じてつながっています。さまざまなつながりによって生態系は成り立っているのです。

 生物多様性は、地球上の生きものの豊かさに関する考え方の1つで、「種の多様性」、「遺伝子の多様性」、「生態系の多様性」の 3 つのレベルに分けて考えられます。これらのうち分かりやすいのは種の多様性で、生物種の数であらわします。種の数が多いほど多様性が高いと考えます。現在の伊豆沼・内沼の種の多様性は、昭和55年の洪水被害やオオクチバスの増加により低下しています。伊豆沼・内沼では、洪水被害を受ける以前の頃の自然環境を取り戻すことを目標とした、自然再生事業が行われています。

 鳥インフルエンザとは、A 型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症です。鳥インフルエンザはカモ類など野生の水鳥に存在しています。このうち、人が飼っているニワトリなどに感染すると非常に高い病原性をもたらすものを、高病原性鳥インフルエンザと呼び、H5亜型のものとH7亜型のものが知られています。基本的に鳥の病気ですので、人が感染することはほとんどありません。

 ガンやハクチョウなど、国境を越えて長距離移動する渡り鳥たちは、その多くが地球を南北方向に移動します。その渡り経路(フライウェイ)をみると、世界的に 9 つのフライウェイに大きく分けることができます。そのうち、東アジア・オーストラリア地域フライウェイに含まれる国々や渡り鳥を保全する取組を行っている人々が協力するための枠組が東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップ(EAAFP)で、渡り鳥の生息状況や保全活動について、情報交換を行っています。伊豆沼・内沼は、2014年にEAAFPのガンカモ類ネットワークに認定され、同じくパートナーシップを結んでいる蕪栗沼、化女沼、さらに国外の生息地の人々とも協力しながら、渡り鳥やその生息地である湿地の保全に取り組んでいます。

 富栄養化とは、海、湖沼、河川などの水域で、水中の栄養分(窒素やリン)が過剰に増えてしまうことです。窒素やリンが含まれる洗剤や農薬、肥料が湖沼にたくさん流入すると富栄養化が起こります。富栄養化が進行すると、アオコが発生したり水が酸欠状態になったりします。伊豆沼・内沼でも富栄養化が問題となっており、その対策が求められています。

 ラムサール条約は、国際的に重要な湿地の保全とワイズユースを進めていくことを目的とした条約です。国際的に重要な湿地として認められ、保全対策がすすむことによって、湿地の価値がより高まります。それによって漁業やエコツーリズムなど自然資源を活かした持続的な湿地の活用も可能となります。2016 年現在、国内には 50 箇所のラムサール湿地があります。伊豆沼・内沼は1985年に釧路湿原に次いで国内で2番目のラムサール条約湿地に指定されています。宮城県北部には、伊豆沼・内沼と同じくラムサール条約湿地に指定された蕪栗沼・周辺水田と化女沼があります。伊豆沼・内沼を含むこれら 3 つのラムサール条約湿地を結んだ地域は、ラムサールトライアングルとも呼ばれ、宮城県北部に広がる豊かな湿地環境を象徴しています。