マコモは、湖岸の浅瀬に生える抽水植物で、魚類の産卵場所や水鳥の営巣場所になったり、地下茎が越冬期のハクチョウの餌になるなど、沼の生態系には欠かせない植物です。伊豆沼・内沼では、昭和55年(1980年)に大きな増水があり、沼の水生植物群落が壊滅的な影響を受けました。とくにマコモ群落の流出は深刻で、それまで湖岸のほとんどを覆っていた群落はわずかに残るだけとなってしまいました。昭和55年の増水以降は、いまだに群落の自然回復には至っていません。

 そこで、伊豆沼・内沼では、平成12年から、地元の農業者を中心に組織された「マコモ軍団」を中心に、地元の小中学校とともにマコモの植栽を行ってきました。毎年数ha〜数十haの面積を植栽してきましたが、沼の水位の上昇や、ハクチョウによる冬季の掘り起こしにより、群落の定着には至っていません。

 平成21年度からは、伊豆沼・内沼自然再生事業の中で、マコモの効率的な植栽方法の開発や、ハクチョウによる食害の防止方法の開発を行っており、柳の枝を束ねた漁礁の中に苗を入れることで、ハクチョウの食害を防げることが分かりました。